【文法のポイント!!】ストーリーは分かりやすいが文法は絶妙な難易度。大学入試も見据えて覚えておくべきポイント多数。
まず、源氏物語と言えば敬語表現。実はこのエピソードでは尼君や若紫に作者からの敬語表現が使われていません。
なんで!?ってなりますが、まだ彼女たちの身の上が誰なのかわからないため、だそうです。光源氏や僧に対してはきちんと使われていますので、地の文の敬語表現は光源氏(もしくは僧)への敬意で決まり!!
ところで、敬語表現の問題で高校の先生が出したくなる、最も有力な部分は後半のこの部分。
この部分は源氏が慕う藤壺に若紫が似ていて、思わず見つめてしまうなあ、と涙を落とす場面。「と、思ふ」ってことは、カギカッコはないけれど、この部分は源氏の心の声なので、謙譲の補助動詞【奉れ】は【源氏から藤壺】への敬意を表していることになります。
ここ以外は通常のルール(地の文は作者から、会話文は話し手から)に従って考えれば大丈夫です。
続いて、助動詞のポイントは【なり(断定)】【たり(完了・存続)】【り(完了・存続)】【めり(推定)】【べし(推量・当然)】が使われています。どれも国語の先生が大好きな助動詞です。
特に【にや】【なめり】は大学入試でも頻出のポイントになる文法事項ですので暗記しときましょう。
【にや】【にか】【にこそ】【にあり】の『に』は必ず【断定の『なり』】
【なめり】は【なる(断定・連体)+めり】→【なん(撥音便化)+めり】→【なめり】で【断定の『なり』】
助詞については【もぞ】【もこそ】が現代語訳などで、定期試験に出される可能性が高いと思います。【~したら大変だ】と訳します。マーク模試などでも解答のポイントになることがありますのでしっかり覚えておきましょう。
さて、最後に和歌について。
授業でも和歌に時間をかけて説明されているのではないか、と思います。テストでは縁語が問われる可能性が最も高いです。必ずチェックを。ちなみに縁語に関しては、諸説ありますので授業をしっかり聞いておきましょう。
【あらすじ】源氏物語で1位2位を争う有名なエピソード。文脈と合わせて文法を覚えよう。
- 作品ジャンル:物語
- 成立年代:平安時代中期
- 作者:紫式部
全54帖(じょう)で、帝の子として生まれた主人公光源氏が准太上天皇になるまでの40年間を通して、様々な女性との関係や苦悩などが描かれている。また、後編ではその子である『薫』の半生が描かれている。
紫式部は生没年未詳で宮仕えの際には『藤式部(とうのしきぶ)』と呼ばれた。源氏物語の紫の上から紫式部と呼ばれるようになったとも言われる。
藤原道長の娘である中宮彰子に仕えた。同時代の清少納言と比較されがちであるが、源氏物語は「あはれ」の文学、枕草子は「をかし」の文学と呼ばれている。
この作品は源氏物語の中でも最も有名なエピソードの一つで、光源氏が初めて若紫に出会うシーンです。この話の前に習う【桐壺(光る君の誕生)】に比べるとイメージしやすく、会話文も多いので読みやすいです。
もっとも有名な「雀の子を、犬君が逃がしつる!!」と飼っていた雀を遊び相手の女の子がうっかり逃がしてしまって泣いて怒る若紫。尼君は、こんなに幼い若紫を残して死ぬに死ねない、と悩んでしまいます。
そんな若紫ですが、その顔に恋い慕う藤壺の宮の面影を見た源氏は目を離すことができなくなってしまう、という流れです。
尼君が心配するほど幼い性格の若紫の愛らしさを前面に出しつつ、先の長くない尼君が若紫を思って詠む和歌、さらに近くの女房が尼君に対して詠む和歌がそこはかとない悲しさを出している作品です。
若紫(10歳くらい)の女の子をこっそり見つめる光源氏17、8歳…お巡りさん!!ここですよ!!(笑)
【若紫】授業ノートはこちらです。画像とPDFの好きな方をご覧ください。
『若紫』は様々な教科書に掲載されている題材ですので、漢字などに違いがある場合があります。内容は同じです。当サイトの原文は第一学習社に合わせて作っています。
画像で文字がぼやけてしまう場合は、PDF版をご利用ください。
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